コラム

甘えさせることで育つ”ガマン”する力

2024.04.12

「ここでガマンさせなければ、わがままな子どもに育ってしまう・・」こんなふうに思ってしま
う親は多いものです。かつての私も、長女をかなり厳しく育てていました。初めての子育てという
こともあり「この子をしっかり育てなければ!」と、がんばり過ぎていたのです。このがんばり
がわが子を甘えさせることよりも「しつけ」優先になり、その結果、長女からはすっかり嫌われて、
親子関係がぎくしゃくしたつらい過去があります。
よくよく考えてみれば、子どもに「甘えちゃダメ」というのは残酷な話ですよね。子どもが甘え
るのは当然のことだし、親にじゅうぶん甘えることで、心が満たされ安心感を持ち、お母さんが
好き、自分が好き、他の人も好きになれるというのに・・・。
親(養育者)にじゅうぶん甘えさせてもらえなかった子どもは、親や大人を困らせたり、友だ
ちにイヤなことをしたり、いじめたりすることもあります。たとえ表面的には「いい子でしっか
り者」に育ったとしても、心の奥では甘えたい気持ちや満たされない気持ちが根強く残ってしま
い、誰かに、あるいは何かに依存して生きていくことにもなりかねません。
反対に子ども時代にじゅうぶん甘えることができ、心が満たされると、安心感を持ち、自分や
他人への信頼、そしてガマンする力も育ちます。何よりも自分が愛され、大切にされると、人を
大切にするゆとりも生まれるのです。子どもの気持ちや思いをしっかり受け止めて、じゅうぶん甘
えさせてあげましょう。受け止めてあげることは、けっして「甘やかす」ことや「ワガママ」を
許すことではありません。

 

(文責:野中 利子)

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