コラム
子育ては連鎖する?!!
2025.07.11
「子育ての世代間連鎖」という言葉があります。これは「人は自分が育てられたのと同
じようにわが子を育てる」という意味です。「子ども虐待」の著者である西沢哲氏は、「自
分自身が身体的虐待などの暴力を受けて育った親は、その経験から『子育てには体罰が必
要』という、体罰を肯定的にとらえる養育観を持つことがある」と話しています。こうし
た養育観を背景に、「言ってもきかないときには叩いてでも教えるのが親の務め」という
考え方が、しつけとして日常化しやすいのです。
実際、AP講座に参加した40代の父親が、「私は親に叩かれて育ったからこそ、こんなに
強くなったと思っている。叩いた母に感謝しているくらいだ」と言い、講座のたびに「AP
は良い講座だが、こんなに優しく育てられたら、社会で生き抜けないのではないか?」と
心配していました。しかし、本来の「しつけ」とは、今生きている私たちの文化や決まり
(ルール)を一つ一つ丁寧に教えることです。どうすれば良いのかを具体的に、子どもが
理解できるように何度も繰り返しながら教えていかなければなりません。親の日頃の生活
態度や行動も大いに影響しますし、学びには失敗も多いものです。それでも大丈夫。上手
くできたら、「できたね」「すごい!」「がんばったね」といった言葉で認めたり、褒め
たりしてあげましょう。この繰り返しの中で、子どもは「良いこと」も「悪いこと」も学
びながら成長します。親にとっては、できないことや失敗を繰り返す子どもを見ると、イ
ライラしたり無気力に感じることもあるかもしれません。しかし、すぐにできないことや
失敗を経験することは、子どもにとって自分の限界を知るための良いチャンスでもあり、
必要な体験です。子育ては親にも忍耐が求められますよね。
ぜひ、「子どもを傷つけるような世代間連鎖」を断ち切りましょう。親の言葉や行動で
傷ついたことを、わが子に引き継がせないようにしましょう。自分がしてもらって嬉し
かったこと、安心だったこと、心地よかったことを、次世代の子どもたちに手渡していき
たいですね。
(文責:野中利子)