コラム
子どもに真実を話そう②
2025.05.30
「赤ちゃんはどこから生まれるの?」「人はどうして死んじゃうの?」
——子どもからこんな質問をされたこと、ありませんか?ある心理学者が言っていたのですが、こうした問
いって実は、「人間ってどこから来て、どこへ行くんだろう?」という、とても深いテーマにつながっているんだそうです。
だからこそ、ただ体の仕組みを説明するだけでは、子どもにとってはちょっと物足りなくて、がっかりしてしまうこともあるんですね。その心理学者は、「あからさまに説明す
るよりも、子どもの心に残るような“イメージ”を伝えてあげることが大切だ」と話していました。
たとえば、こんなふうに伝えるのはどうでしょう?
「遠い空の雲の向こうにね、とっても広い野原があるの。あなたはそこで遊んでいたの
よ。ある日、優しい神さまが“この子はそろそろ行く時間だね”って言って、お母さんのお
なかに届けてくれたの。あなたはおなかの中でどんどん大きくなって、もう狭くなっ
ちゃったから、“そろそろ出たいよ~”って言ったの。それで、お母さんが“よし、出ておい
で!”って出してあげたのよ」
こんなふうに、子どもの空想の世界に寄り添いながらお話しすることで、子どもにとっ
て“心の栄養”になるような対話ができるんじゃないかなと思います。
もし、すぐに答えられないような質問をされたら、無理に取り繕わずに、「それは難し
い質問だね。お母さんもすぐにはわからないから、ちょっと考えてみるね」と正直に伝え
てもいいと思います。それから、「なんでそのこと、気になったの?」と子どもに聞いて
みるのもおすすめ。子どもがどんな気持ちで質問しているのかが見えてくることもありま
す。
子どもに真実を話すというのは、ただ知識を教えることじゃなくて、その子とちゃんと
向き合うこと、そして「あなたのこと、大切に思ってるよ」って伝えることでもあると思
います。小さな頃から、ほんのちょっとしたことでも真実を伝えてもらってきた子は、大
きくなったとき、「親の言うことは信じていいんだ」って思えるようになるはず。だから
こそ、思春期になっても、親の言葉に耳を傾けたり、相談してくれたりするんじゃないか
なって思うんです。
(文責:野中利子)