コラム
制限の中の自由な選択
2024.07.21
5歳のTくんはおばあちゃんちにお母さんと一緒にお泊まりしました。パパが大好きな
Tくんですが、パパはお仕事で2日間帰ってきません。夕ご飯を前に、Tくんはわざと行
儀悪くし、困らせることばかりして、お母さんから注意されて、とうとう泣き出してしま
いました。
そこでAP講座の受講生であるおばあちゃんは「Tくんがわざとみんなを困らせるような
ことをして、そんなに泣いていたら、おばあちゃんもお母さんも楽しくないよ。Tくんも
楽しくないでしょう。泣きやむのだったら一緒にご飯を食べましょう。でもいつまでも泣
いているなら、お母さんと自分の家に帰ってちょうだい。どっちがいい?」と言ったそう
です。するとTくんは手のひらを返したように泣き止んで、ご飯をパクパク食べ始めたそ
うな。(さすが!! APおばあちゃんです!)
少し手厳しいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが「しつけ」とは、こんなも
のではないでしょうか。「しつけ」は子どもにとっては辛いもの。でもそこに道理があ
り、適当な制限があれば、子どもにきちんと伝わり、理解できると思います。
子どもは親や周りの大人の対応をしっかりみながら、自己主張します。泣きやまない孫
に、手こずって、つい声を荒げて「そんなに泣かないのよ。もう泣きやみなさい」とか、
可愛そうに思って「ほらほらお菓子あげるからもう泣きやんでちょうだい」など、なだめ
たり、物ですり替えたりしがちです。しかし、そういう大人の態度によって、子どもはこ
れからどうすれば自分の思うようになるかということを学びます。
自己主張がきちんとできる子どもに育てるには、親や大人の毅然とした態度や適切な制
限が求められると思います。
(文責:野中利子)